| 5:30にあと少しというとき、ホテル前にワゴンが着いた。
やさしい笑顔につられて笑みを返しつつ車に乗り込み、石垣島の北東部へ向かう。
窓から見える木々は先週の台風で葉は落ち、枝は折れ、茶色の木肌をさらしている。
まるで一足早く秋の訪れを告げたようなそんな景色に驚いていると、運転席の窓が無いことに気づいた。
代わりに透明なプラスティックがはめ込まれている。
丸坊主にされた木々に黒いものがみえる。
「大コオモリですよ」と教えられた。
30センチくらいの身の丈でむくむくの毛皮を纏い枝にぶら下がる様子は、猿のようにもみえる。
ところで、本日の天候は曇り。
楽しみのひとつであった、海上からのサンセットは拝めそうにない。
残念至極。
ともあれ、“シットオントップ”というタイプのカヤックで海に漕ぎ出す。
夕日は見えぬが、空を覆う雲が茜色のグラデーションに染まっていくさまを眺めながら、マングローブ林が待つ河へと漕ぎいる。
河口付近にシギの群れがいた。
密やかに、漕ぎ行ったつもりだったが、まだ5mも離れているのに一斉に飛び立ってしまった。
マングローブ林につく頃にはすっかりくらくなった。
垂れ下がった枝に気を付けながらパドルを操る。
これが、なかなか難しい…。
カヤックを置いて少し歩く。
昼と夜が混じり合うこの時間は、夜の生き物のお目覚めタイム。
カニやハゼや、ここの生態系の説明を聞く。
再びカヤックに乗り込む前に手作りのサーターアンダギーとお茶で小休止。
戻りの道々は、パドルを入れるたびに光る夜行虫に見とれながらの道行き。
雲の間から星も見えて、眼下には夜行虫が光る。
そんなナイトカヤック初体験。
このときほど、浜に戻るにつれ強くなる電柱の明かりが無粋に見えたことはないだろう。
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